人間と化学物質
人間は生物である。生物は、有機化合物で作られていて、化学反応の連鎖が生命活動の源である。人間は、高度な知的な活動や精神活動をしているので、この化学反応から遠いように感じてしまうこともあるが、その活動も化学反応だったりする。
したがって、人間のすべての活動は化学物質によって、簡単に、攪乱されるのである。麻薬や覚せい剤、ドーピングという極端な例を出すまでもなく、日常的に利用する薬はもちろん化学物質だし、食物もおおむね有機化合物である。
最近問題になった、食品の問題、農薬の混入、残留問題や、メラミンの問題などは人間や、哺乳動物全般に対して、毒性のある化学物質の事例であるが、われわれは食物を含めて化学物質に囲まれていて、その影響を大きく受ける存在であることに気づくことが必要だ。
体調の変化、気分の変化は、体の活動で何かを使いすぎて、何かが不足した。あるいは、摂取できていなくて、不足している。なにか毒性のあるものを摂取してしまった、あるいは毒性のある化学物質を生成する微生物(細菌やカビ)に感染した。ウイルスが体に侵入して、正しい化学反応の連鎖を妨害された。このようなことが起こっているわけである。
人間は、自分自身で作ることができない化合物で、生命活動に必要なものがある。これらは食物として摂取することが必要だ。必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル(金属イオン)などが代表である。
研究が進んだことで、より微量な化学物質が影響を与えるということが解明されてきた。微量成分、特に栄養素としてはミネラルと総称される金属イオンなどは代表的である。また、ありきたりのものがとても重要な役割をしているということも分かってきた。もっともシンプルなアミノ酸のグリシンが睡眠や急速に重要な役割をしているというのがその例だ。
それと、自身で合成できるものの、老化によってその能力が低下するものや、ある種の疾患によって、やはり合成できなかったりして不足に陥るものなど、さまざまなことがわかってきている。ときには、サプリメントでこうしたものを補うことも現代ではよい方法だ。ただ、合成サプリメントではやはり、ある特定の成分だけということになるので、そうではないもののほうがよい。ただし、持病のある人は、専門家のアドバイスを受けたほうがよいだろう。こうした物質は互いに補完作用をしながら働くので、マルチビタミン、ミネラルや、フードベースのサプリメントがいいかもしれない。私は、アメリカ製のマルチビタミンのサプリメントを飲んでいる。
体調の悪化はこれだけではなく、血行が悪くなって、体のすみずみに血液が十分行き渡らず、酸素や、栄養分が回っていないということもある。
素人判断も危険なので軽々しく対処してもいけないのだが、あまり気に病むこともよくないだろう。なので、アロマテラピーなどの代替療法はこうした病気というほどではないがちょっと調子が悪いというときにはとてもよい方法だと思う。ゆっくりと入浴をし、気に入った香りを漂わせ、ハーブティーや、リキュールを少々楽しむことは非常に有効だ。こうしたものは経験的な民間療法に由来していることが多いのだが、微量成分やホルモン様物質の補填を行うという原理であることも多い。
それでもやはりわからないものも未だあると思ったほうがよい。畑で作物を育てるとき、N(窒素), P(リン酸), K(カリ、カリウム)が植物の三大栄養素で、化学肥料としては合成された、これだけを与えてきた。これに対して、堆肥や、天然由来の肥料はこれ以外のものもいろいろ入っている。化学肥料ばかりを使ってきた畑では、微量成分が補われることなく、吸収されてしまったために、どんどん畑が悪くなって(やせて)しまった。これが、最近の野菜の栄養価が低い原因の一つではないかと思われる。
我々は、地球の中で生かされている生命の一つであり、進化の過程でそこにある食物が重要な役割を果たしてきており、それはまだまだ解明されてないことが多いということを認識する必要がある。
最終更新日: $Date: 2008-11-02 16:42:28+09 $






