サービスを作るということ
グラフィCMSの原点で書きましたが、自分が使いたいものを作り、便利なものができたから他の人にも使ってほしいというのは、サービスの質を維持する基本の姿勢だと思います。自分は昔からコレを使っているからそれは変えられないけど、他の人は別の、今、どうやら、はやっているらしいものが欲しいというから仕方がないけど提供しよう、というのでは質的に最高のものを提供できるとは思えません。
ビジネスモデルという非常に聞こえのよい、しかし危うい概念があります。ビジネスモデルは事業の収益性を説明するという点では必要ですが、サービスの質を向上することを必ずしも含んでいません。もちろん、便利なものあっても、高いものであっては多くの人が利用できるものにはなりませんから、その点での配慮は必要ですが、それはスケーラビリティや、スケールメリットに対する意識だけで十分で、モデルではありません。
ビジネスモデルが優れているから、不便であっても我慢して、そのサービスを使うべきだ、というのは間違っています。不便だとということであれば、そのモデルは本来成立していないものであって、改善を必要とするものであるはずです。
私は、大学で化学の研究を行っていましたが、実験には時間がかかります。長い時間を要することは、極力、装置を使って自動化して有効に時間を使います。人は寝ないといけませんが、機械はその間も働いてくれますから、効率のよい実験の計画を立てて、時間を有効に使います。この計画がうまくできないとたくさん実験をこなすことはできません。
実験はうまくことのほうが少ないですから、多くの実験を行うことは非常に重要です。予想したとおりの結果がでるわけではありませんが、予想や仮定はありますから、その姿を想像しながら計画を立てます。想像したものと異なってきたら、なにが起こっているかを考えて計画を修正します。そうしたことの繰り返しを経て、最終的な結果に到達します。
本来の目的があって、その目的を達成するために、手段を選ぶ。すでにその手段が一般に、安価に手に入るものであれば、それを使う。複数の手段の組み合わせで目的が達成できれば、組み合わせて使う。どうしてもないものがあれば、どうすればいいかを考える。組み合わせて使う場合にも手段と手段の間の手間を小さくできないかを考える。
手段が簡単に得られないときには、目的を細分化してみて、優先順位を考え、優先順位の高いものから順に実現する手段を再検討する。そしてそれを便利にするには、どうすればいいのかを考える。
こうしたことを繰り返すことが本来必要なことです。
全体の目的を達成するためにぴったりする手段、製品が簡単に見つからないと諦めるか、丸投げする。そのうち、いつのまにか、本来の目的の優先順位のことを忘れてしまう。目的意識が薄れると、目的よりもリスクが一番上に来てしまい、これが満たされていないから、できないと言い始める。
こんな思考をしていては、サービスや製品を作ることはできません。もちろん社会に責任を持った形で出すためには、ちゃんと安全なものとして整えなければいけませんが、そのためには数多くの検証、実験を行わなければなりませんから、多くの人が使うことはとても重要です。
しかし、始めるときには、目的をはっきりして、まず最優先する目的を実現し、徐々にきれいに整えていけばよいのです。次の段階で既存の技術や製品を利用、活用できないかを検討すればよいのではないでしょうか。始めるときに、もうすでにぴったりするものがあれば、だいたいこんな検討が行われることはないわけです。買ってきて満足できるでしょう。
それは○○だからできないというのは簡単な話ですが、本来の目的やサービスの向上がそこに存在しているのかをよく考えるべきです。そのために、すでに何が実現されているのかを知り、なぜそれが使われているのかを考え、そして自ら体験してみることも非常に重要なことなのです。
それに古いものを大切にするのはいいことですが、それはなぜ大切にするのかも同時に考えるべきなのです。
最終更新日: $Date: 2009-04-27 10:14:55+09 $






