大規模メールサーバの試み
ISPもビジネスとして確立してきた時代だった。これもIIJを辞めたあとのこと、当時 DTIの企画部長だったかをしていた、石田君(現フリービット社長)に請われて、DTIの技術顧問をすることになった。
その中で、メールサーバをなんとかしたいという話が出てきた。インターネットの電子メールは、UNIXシステムのユーザのメールシステムが分散して接続している形態から出来ているので、一つのシステムにたくさんのユーザが存在しているという管理はあまり想定していない。いまでもサブドメインを分割してユーザを収容していることが多い。フリーのソフトウエアもほとんど UNIX のユーザ管理を利用しているものである。
さて、ISPで事業用に利用するサーバは、UNIXのユーザ管理を利用しないものが欲しい。単一のドメインで運用するのではなく、複数のドメインを一つのサーバで管理して、別々のユーザ空間を実現したい。そうしたサーバは、たぶんなかった。UNIX上では、UNIXに標準的にメールシステムが内在しているので、どうしても余計なコストのかかるニーズがなかったのかもしれないし、だいたいドメインの考えと逆行するようなシステムを考える発想は生まれなかっただろう。
そこで、データベースを利用して、メールサーバ(というよりは大規模なメールボックスサーバ)を作ろうということになった。UNIXのユーザ管理ではなく、メールアドレスそのものを管理して、メールをデータとするというシステムであって、機能を実現することだけはそれほど難しくはなかったが、ユーザ管理を行うためにユーザインターフェースを作ることや、メールを実際に格納しておく巨大なディスクシステムのほうが、その当時の技術としては大変なことだった。
このメールシステムは、完成したのだが、当時のハードウエア環境の制約から、運用が難しいシステムになってしまった。確かに受託開発の形式で行い、納品はできた。しかし、ハードウエアの選定や調達、運用は我々は担当しなかったために、ずれが生じてしまったのではないかと思う。そのため、実際にこのときには本運用には入れなかったかもしれない。これもある時点で我々の手を離れてしまい、DTIから、石田君たちが離れて、フリービットを設立したために分からなくなってしまった。
これも、後にハードウエア環境とデータベースなどのミドルウエア環境が整ったあとで、このときの経験を生かして、再度作成することになった。ただし、今度はハードが高性能化したので、メールボックスくらいは、あまりこういう凝った工夫は必要なく、乱暴なシステムでも十分運用できるようになってしまった。
ただし、このシステムのアイディアは、現在のグラフィCMSの中に、登場してくる。一つのサーバから、たくさんのどんなドメインのWebサーバでも作ってしまうというものだし、CMS内でメールを送受信する機能では、事実上、このメールサーバと類似したことを行うことになっているだろう。
最終更新日: $Date: 2008-10-18 22:14:06+09 $






