ドメイン名雑感

今日の日経のニュースに、2009年夏に、TLD (Top Level Domain) として、".日本" を総務省が認めるという記事があった。その中に、現在 .jp を日本レジストリーサービスが管理などの業務を一括しており、業務の開放を求める意見も出ていた、というくだりがあった。

日本のインターネットは最初、.junet から始まった。実験ネットワークのJUNETである。この時期まだ、DNS (Domain Name System)の運用はまともには行われていなかった。電子メールのアドレスとして、階層的ドメインの概念が導入されはじめていたが、電子メールの配送は、静的なルールセットを用いたもので、電子メール配送システム自身の設定ファイル (sendmail.cf など)に直接記述されていた。

いわゆる IP ネットワークが整備されるようになり、日本も接続するという段階になって、ISO3166の2文字の国コードを、TLDにする DNS を運用するという方向になり、日本も、.junet から、.ac.jp, .co.jp, .go.jp, .ad.jp というドメイン名に移行した。このときに属性をあらわす2文字を入れるということになった。国際的にもこのような属性を示す文字列を第二レベル (SLD) に入れることは多いのだが、日本の場合、これは同じ5文字にするためだったという裏話もあったりする(これは完全に余談だが)。電子メールアドレスは、イギリスではまったく逆順に書いていて、user@uk.ac.college というのを使っていたこともある。

さてドメイン名の割当は日本では、属性の上の第三レベルの割当ということだったわけだが、JUNETの時代から、JNIC が創設されるまで、junet-admin という管理者グループが長く独占的に行っていた。研究グループのボランタリな活動だったのと、ドメイン名に対する独特の意識があったので、結構うるさいことを言っていた時代がある。3文字はいけないとか、なぜそのドメイン名にするのか理由を述べよとかやっていた。この時代には、よく知られた企業でアルファベット三文字の略称を持っているところでも、結構揉めた。

その後、ドメイン名取得のニーズが増えたこともあり、JNIC の創設によって、明確なルール化が行われ、割当はスムーズに行われるようになった。その後、JPNIC に引き継がれていった。インターネットの発展と WWW の急速な流行は、電子メールアドレスが主目的であった、ドメイン名の使い方を変えていった。

名前としての意味合いが非常に強くなり、紛争も起こるようになった。アメリカでは、ドメイン名の売買が行われ、高値での取引事例も生まれた。紛争の処理ルールも作られた。 社団法人としての JPNIC では、その作業量が多くなりすぎて、処理できなくなったことや、.com, .net などの TLD は、日本のルールよりゆるく、割当が民間に委託されて取りやすくなり、日本でもこれらの TLD を使う企業が増えてきていた。しかし、トラブルも多く、取るのは簡単だが、なにか起こるとどうしていいか分からないということがかなり頻発した。

そこで、日本でもより、取りやすいドメイン名としての、汎用 JP ドメインのアイディアが持ち上がり、それを含めて、ドメインの管理運用組織としての、JPRS (日本レジストリサービス)が創設された。JPNIC も出資する株式会社組織として誕生した。これは、需要に変化に機敏に対応して、資金調達も柔軟にできるようにと、民間企業として設立された。

汎用 .jp ドメインは、不足しているニーズを補う形で、増え続け、100万ドメインを突破した。しかし、TLD 間の国際競争ということもあり、より安価に利用できる TLD もたくさん登場した。ISO3166 の国コード (行政区画または地域に割り当てられる、ISO3166-2を含む)を使うものが、ccTLD、それ以外の .com, .net, 新しいのでは、.info などもあるが、これらの国をあらわさないのが、gTLD と呼ばれる。

ccTLD の中でも、.tv (ツバル) など、その地域で使われるのではなく、テレビジョンの意味に流用しているものもある。本来使うべき地域との関係はさまざまで、企業が買い取っているようなケースもあるようだ。

さて、こうやってドメイン名のニーズは大きくなってきていて、最近の Web では、半ば使い捨てのように利用されるものもある。どのドメイン名でも一定の維持費を払う必要があり、払わなければ抹消されるだけなので、それまでだといえばかまわないのだが、やはり業者によっては、取るのはやさしく、そのセットのまま使うにはいいのだが、ちょっと変更したいというときには、分からないとか、仲介した業者がつぶれてしまったとかで、大切な名前として使っているのに困ったという相談は後を絶たない。

ドメイン名は、原則早いもの勝ちなので、すでに取られていると同じものは取れない。これを取得に要する費用との兼ね合いでどうも市場が形成されていると思われる。もう一つは、ドメイン名は、WWW のために使うのが主で、メールアドレスには使われる量は非常に少なくなったということもある。そのため使い捨て感覚なのである。それと、できるだけ短い名前を使いたいという希望は、依然として非常に大きいようだ。

さて、.jp は、JPRS が独占的に扱っているので、けしからんというのが冒頭のニュースの意味の中に含まれているのだろう。別に、".日本" もただの文字列なので、使いたい人が使えばいいだろう。.jpn という TLD も誰か割当をするというニュースがあったようだが、今はどうなったのだろう。

まあ、エッチティティーピーコロンスラッシュスラッシュダブリュダブリュダブリュ…というのもアナウンサーの皆さんも慣れたみたいだけれど、さらに読みやすい短い名前が欲しいのだろう。

しかし、おそらく技術の進歩は、わずらわしいものの存在を消し去っていく方向にすすむだろうから、使い捨てドメイン名はシステム的(特に DNS)な合理性から考えれば、消え行く方向にあるものだと思う。検索ですべて解決するわけではないとは思うが、エッチティティーピーコロンスラッシュスラッシュダブリュダブリュダブリュ…というのを読み上げるのは、もうしばらくの辛抱ではないだろうか。

最終更新日: $Date: 2008-11-03 14:09:47+09 $

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