離脱の苦悩
ライブドアグループから離脱すると言ったものの、具体的にはライブドアの持ち株を他者に引き受けてもらわなければならない。事件以降、株価は低迷し、ライブドアの簿価から半分に近付いていた。
いくつかのファンドが興味を持ってくれたものの、時価とライブドアの希望価格との開きが大きく、時価に近い価格での引き取りを希望した引き取り手との間を埋めるのは困難であった。
そうこうするうちに、定時株主総会を迎えることになった。直前に、ライブドアが臨時株主総会を開催し、平松氏と清水氏が代表取締役に就任していた。MEXでは、業務資本提携契約に基づいて、過半数の取締役をライブドアから迎えることはせず、両名だけを取締役に加えるという新体制を提案し承認された。総会は、約3時間に及んだと思うが、ライブドアに期待していたという発言が意外に多かったのには驚いた。しかし、それはすでにどうしょうもないことであって、ライブドアがMEXの業績にプラスになるようなことは現実的になにもなく、離脱に向けて引き取り手を探すという道を続けるしかなかった。
ライブドア事件が起こった直後、取材に訪れた記者から、「かえって吉村さんの自由にやれるからよかったんじゃないですか」と言われたが、全然そうはならなかった。たしかにMEXは独立した企業として、業績を向上させるために新しいことに取り組む必要がある。しかし、事件の影響で業績は低下し、ライブドア子会社ということで信用力が低下し、新規の借入、新規のリース契約ができないという状況に陥っていた。
使えるお金は、ライブドアが第三者割当増資で払い込んでくれたお金だけであった。ここで財務側は、これはライブドアのお金だから勝手に使ってはいけない、と言い出した。まさに正論ではあるが、現在、ライブドアになにを聞いても答えは得られないのだから、MEXとして自力で新しい道を探さなければいけないと、新しいプロジェクトの構想を考えたが、お金は使えないの一点張りとなった。責任を負いたくないのはしょうがない。まして異常な状況であるので余計に委縮するだろう。でも、新規事業に確実なものはあるはずがない。検討段階でそんなに浪費するわけではないし、それこそなにもしないで遊んでいて、給料だけもらっているのではなお悪い。しかし、元本保証でないことは言うまでもない。
ライブドアという怪しいが勢いのある集団に淡くも期待したものは、大きな足かせに変わってしまった。
お金が、証券会社の提案する「安定した」「元本を保証している」運用へと回された。財務担当者はうれしそうに証券会社や金融機関の担当者と相談しているように見えた。
こうして、さらに1年が無駄に過ぎていった。
最終更新日: $Date: 2008-10-17 20:14:22+09 $






